濃い緑の山あいに、白い巨大なバケツ状の構造物がそそり立つ。上海から百二十キロ、一九九一年に運転開始した秦山原発(三十万キロワット級一基)の施設だ。
中国で現在運転中の原発九基のうち、秦山周辺には五基が集中する。秦山原発のほか、秦山第二原発(六十五万キロワット級二基)、秦山第三原発(七十万キロワット級二基)だ。このうち秦山、秦山第二原発が中国の主流である加圧水型で、日本企業が部分参加。秦山第三原発はカナダ製の重水炉だ。
中国ではこのほか、フランスの技術を採用した広東省の大亜湾、嶺澳の両原発でそれぞれ二基が稼働する。九基合計の発電量は約七百万キロワット。中国政府の計画では、二〇二〇年の目標年次に四千万キロワットを原発でまかなうとしている。
建設中のものを含め、中国の原発はこれまで東部の沿海地域に集中してきた。高い経済成長率を背景に電力需要が高い地域だが、中国の火力発電を支える内陸の炭田地帯から遠いことが沿海部への原発集中をもたらした。ただ、英字紙チャイナ・デーリーによると、東北部の吉林省など内陸部にも、今後は原発が設立されるという。
海外からの技術導入も盛んだ。現在建設中の田湾原発(江蘇省)は、ロシアとの協力プロジェクトだ。広東省での陽江、浙江省の三門の原発計画では、フランス、ロシアとともに、三菱重工と米ウェスチングハウスの日米企業が国際入札に参加している。このプロジェクトでは、中国原発の標準型が決まるとされている。
原発の建設費用は一キロワットあたり千三百ドルが相場ともいう。増設分を仮に三千万キロワットとすれば、中国での原発ビジネスは三百九十億ドルの市場ともなる。
中国は〇三年に原発建設をより積極的に推進する方針を打ち出した。埋蔵量は豊富な中国産石炭だが、採算ベースでの採掘は向こう四十年で頭打ちとなることが予想されるほか、火力発電による地球温暖化ガスの排出や大気汚染など環境への影響が深刻なことなどが原発推進の背景にある。
ただ、中国原発の安全対策は万全なのか。秦山原発の胡海雲・共産党委書記は「国際安全基準でクラス1(最低)の事故すら起こしたことはない」と言い切るが、九八年に秦山原発で起きた原子炉内の機器破損では、一年二カ月にわたり運転が停止。事故に関する国民向けの発表はなく、関係者は「海外で同じ問題が起こったら、ただではすまなかった」と語る。
日本貿易振興機構(JETRO)海外電力調査室は、「原発の安全性はそれを動かし管理する人による」と指摘する。中国では毎年必要とされる原発技術者は千二百人だが、新卒技術者は二百五十人。二〇年までに必要な原発技術者は一万三千人といわれ、人材不足も中国の原発の安全確保に急務といえるようだ。
何においても管理の悪い中国です。
原発事故に成らなければ良いのですが?この心配が杞憂に終わる事を願います。
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